たけのこ暮らし

たけのこ建築設計室 齋藤の日常

4号特例のこと

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(写真と本文は一切関係ありません。すみません。)

 

住宅に限らず、建築をつくる前には、これから建てる建築が各種法律に適合しているのか?を行政などの審査機関に確認してもらう手続きを行わなければなりません。

 

これを確認申請といいます。

 

確認申請を提出して審査してもらい、適法であるという証の「確認済証」を発行してもらわないと、工事着工してはいけません。

 

 

その確認申請において、ある一定の規模までの住宅に関しては、手続き上の審査を省略できる規定があります。一般的に4号特例といわれるものです。

 

 

僕はこの4号特例は撤廃してもいいと思っています。なぜならこの特例があるおかげで、たくさんの住宅がきちんとつくられていないからです。

 

 

■4号特例って?

 

 

建築に関わる基本的な法律として、建築基準法というものがあります。この中で、建物の規模や用途によって種類分けがされており、一般的な住宅は4号建築物という分類に該当します。この法律の中で、4号建築物に関しては建築士が設計する場合において、手続き上の審査を省略できる規定があります。

 

どんな項目が省略されるのかと言うと

 

  • 構造耐力規定
  • 居室の採光、換気に関する規定

 

などなど。細かく言うと色々ありますが、上記が大きなところです。

 

 

特に、構造耐力規定。

建築基準法では、構造部(柱・梁・基礎・筋交いなど)の基本的な仕様や基準が定められていますが、4号特例を使う物件に関しては、こうした部分は審査されない、ということです。驚きませんか?一般的な住宅は、こうした手続きの中で、一番大切な構造上の安全性が審査されていないんです。

 

 

■なんで4号特例が悪いのか?

 

 

ではなぜこの特例が良くないのか?

それは先に述べた「審査されない」という部分をはき違えて、「法律通りで無くてもいい」と間違った解釈をされたり、中には「審査されないから無視」という悪質な業者がいるからです。

 

 

審査されない」だけで「法律には適合していなければならない」のに、です。

 

 

僕たちが設計する住宅では、大体どんな物件でも40枚程度の図面を描きます。その中から、確認申請に必要な図面をピックアップして手続き時に添付します。要は審査されようとされまいと、本来必要な事項は全てチェックし、図面に起こしています。

 

 

ただ、一般的な業者さんの建てる家では図面は確認申請に必要な3、4枚程度の図面しか描きません。その他、本来必要な図面などに掛かる経費は「無駄な経費」と捉えられて作成どころかチェックもされないという事象がまかり通っています。

 

 

これまで、何度もこの制度は撤廃への動きがありました。

しかしいつもウヤムヤになってなんとなく存続し…今に至ります。

 

 

例えば、大量に住宅を供給するハウスメーカーさんなどはこれまで通りのスピードで住宅をつくることができなくなってしまいます。そういった経済的な面や色々なしがらみでこの特例制度は存続し続けているのです。

 

 

僕たちにとっては、この特例があろうと無かろうと、手続き時に添付する図面枚数が変わるだけで、作業量が変わるわけではありません。今後も粛々ときちんと住宅をつくっていくだけです。でもきっとこの特例が無くなれば、少しでもきちんとした住宅が増えていくんじゃないかなーと思います。

 

 

長く堅い文章になってしまいましたが(笑)最後までお読みいただきありがとうございました!