たけのこ暮らし

たけのこ建築設計室 齋藤の日常

HIKARIのvoid(仮)

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昨年より進めていた住宅プロジェクト「HIKARIのvoid(仮)」のスタディ模型です。

ご夫婦とお子さん二人(さらにもうひとり?)、奥様のお母さんが住まう、いわゆる二世帯住宅の計画です。

 

残念ながら、この時点でクライアントさんのお仕事の都合により今回のプロジェクトは中止となりましたが、せっかくなのでちょっとご紹介したいな…という事で。

 

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多世帯が暮らす住まいでは、それぞれの生活スタイルやプライバシーを確保しつつ、どこまでを共有させるのか、どういう暮らし方をするのか、お互いの距離感をどうデザインするのかがとても重要なポイントになります。お互いがストレスなく生活し、それでいていつでも顔を合わすことができる工夫が必要です。各世帯同士の距離感は、そのご家庭によってまちまちなので、慎重に丁寧に対話をして、最適な状態を探っていきます。

 

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このプロジェクトでは、お母さんとクライアント世帯で生活時間帯が異なるため、生活動線をそれぞれで完結した上で共有する水回りにはそれぞれからアクセスできるように工夫しました。また、全体のヴォリュームは30坪ほどとさほど大きくないため、各部分のフロア高さを調整して空間に変化・リズムを作りだす事で実際の平面的な面積よりもずっと開放感のある空間になっています。

 

敷地のロケーションは、市内河川敷のほど近く。夏には花火大会も目の前で見る事のできる場所です。そうした恵まれた周辺環境を生かすために、リビングの外には「内部のような外部空間」を作っています。

 

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まだ小さな子供たちを安心して遊ばせながら、時にはここでごはんを食べたり、お酒を飲んだり、花火を観たり。大きくかけた屋根が柔らかに家族の営みを包んでくれます。屋根には一部透過性のある材料を使うので、太陽の恩恵も十分に得る事ができます。

 

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本来はここからさらにクライアントさんとの対話を重ねて、ブラッシュアップしていくのですが…。模型をお見せしたクライアントさんも、大変気に入っていただいていたので僕たちとしても大変残念ですが、数年後、状況が落ち着いた時に再度たけのこにお願いしたい、というありがたいお言葉をいただきました。その日が来ることを楽しみに待っています。

 

そして今回のプロジェクトでもたくさんの事を考え、たくさんのアイデアが生まれました。それだけでも決して無駄ではないし、これからつくる建築に生かしていきたいと思います。